9月6日に開幕した「Peter Barakan’s Music Film Festival 2024」。ラジオDJ、音楽評論家としておなじみのピーター・バラカンさんがセレクトした音楽にまつわる映画が続々上映される催しです。気になっていた映画「セッション・マン」&トークショー観覧のため意を決して初めて参加してみました!会場はJR有楽町駅すぐのビックカメラと同じビル、読売会館の8F・角川シネマ有楽町です。237席、1スクリーンのみで落ち着いた雰囲気のシアター。上京して結構な年数経つのに、ここに映画館があることも知らなかったです。
開始時刻10分ほど前に会場に着いたのですぐ入場の列に並びましたが、すぐそばでピーター・バラカンさんが静かにサイン会をしているのに寸前まで気付きませんでした(戻れずそのまま入場)。年齢層はやはり自分より上の世代の方が多い印象。
以下に視聴した感想を簡単にまとめますが、自分の不勉強や知識不足、記憶容量の少なさによりかなり偏ったものになります。重要な箇所は引用で補います!


映画本編の流れ・出演者

本編はBBCのボブ・ハリスによるナレーションでスタート。時代やテーマによってチャプター風に区切られて進んでいきます。彼の人生を時代に沿って追いながら、共演したミュージシャンがインタビューに答えたり、当時の音源やライブ映像が流れたり、時折現在セッションミュージシャンとして活動する方が演奏の再現をしてくれる映像が差しはさまれたりします。

乳児の頃からピアノに触れて育ち、クラシック音楽を学ぶ学校へ通うもR&Bやロックに出会い学校を辞めクラブで大人に混じって演奏するようになった少年時代、The Rolling Stonesとの出会い。卓越したセンスで活躍していたのに病気が活動の足かせになり、バンドのメンバーではなくセッションミュージシャンの道へ歩んだ青年期。The Beatlesをはじめ次々と大物ミュージシャンから声がかかり、アメリカへも活動の場を広げました。活動ジャンルもどんどん幅広くなっていきます。
終盤では、持病のクローン病が悪化して亡くなる前の彼の様子を奥様が語っています。クローン病を患う現在活動中の若いミュージシャンや、医療関係の方が語るこの病気にまつわるエピソードも。2024年現在も病気に関する情報が少ない難病であるこの病気、当時は治療や療養がもっと大変だったことでしょう。

インタビュー映像や音声で一番多く登場するのはThe Rolling Stonesの面々。やはり一番ロックジャンルでの活動初期にともに活動していたからでしょうか。
パンフレットや公式サイトからの情報から引用するとこれだけ多くの方がインタビューに答えたり映像で登場しています。

  • ミック・ジャガー…The Rolling Stones/英
  • キース・リチャーズ…The Rolling Stones/英
  • ビル・ワイマン…The Rolling Stones/英
  • ピーター・フランプトン…Humble Pie/英
  • ピート・タウンゼント(声のみ)…The Who/英
  • デイブ・デイビス…Kinks/英
  • ニルス・ロフグレン…ギタリスト・シンガーソングライター/米
  • グリン・ジョンズ…プロデューサー・エンジニア/英
  • ベンモント・テンチ…ロック・カントリー歌手(Tom petty and the Heartbreakers 他)/米
  • チャック・リーベル…ピアニスト(The Allman Brothers Band,The Rolling Stones,Eric Clapton )/米
  • テリー・リード…ボーカリスト、ソングライター/英
  • グレアム・パーカー…ボーカリスト、ソングライター/英
  • P・P・アーノルド…ソウルシンガー/米
  • ハリー・シアラー…俳優、DJ、ミュージシャン/米
  • モイラ・ホプキンズ…ニッキー・ホプキンスの奥様
  • ジョン・レノン&オノ・ヨーコ(アーカイブ映像)
  • アート・ガーファンクル(アーカイブ映像)…Simon&Garfunkel/米

他、私が「!」と印象に残った方は、The Whoと揉めた件で記憶に残っていたプロデューサー、シェル・タルミーとBadfingerの関係者(詳細まで記憶できず…ご存命のメンバージョーイ・モーランド?もしくはスタッフ?)。The Whoの関係者(詳細読み取れず)の方も一人インタビューに答えていました。(The Whoのレコーディングに彼が参加したのはバンド内の関係が悪い時期だったらしく、穏やかな彼がぴったりだったとのこと笑)
とにかくみんな、ニッキー・ホプキンスのことを褒めて褒めて褒めたおしていました!
クラシックやジャズの豊富な知識があってロックを演奏するのでとても引き出しが多く、それが素晴らしい演奏につながっているのだとか。音符の刻み方も、普通のミュージシャンの何倍も細かく刻んだり工夫がすごいと現役セッションミュージシャンの方が語っていました。
人柄については「優しく紳士」「穏やか」。P・P・アーノルドが当時を思い出して少しうっとりと語っていたのが印象的でした。
印象に残った一言は「60年代にティーンだったってことは、何にでもなれる希望が持てたってことさ!」的な言葉です。確か、彼の活動初期の頃を知る関係者の方が言っていました。なんといってもブリティッシュ・インヴェイジョン、スウィンギング・ロンドンの時代です!

モーガン・フィッシャーさん登場!トークショー

本編上映の後は、映画祭主催のピーター・バラカンさんと特別ゲストのモーガン・フィッシャーさんのトークショーです。
モーガンさんは直接ニッキー・ホプキンスとのかかわりがないものの、昔から好きで聴いていたレコードで人知れず演奏していた彼にスポットが当たるというのがうれしいとおっしゃっていました。イギリス音楽界において厳しかったセッションミュージシャンの給料事情(アメリカの方がまだ良かったらしい)、曲作りをセッション中に手伝っても印税の見返りがない等なかなか辛い裏話的なものを聞けました。
モーガンさんもキーボーディストですが、Mott The Hoople時代に「キーボードはケーキの上のアイシング(目立ちすぎず最後に華やかな飾りとなる…という意味だったかな?)」「そもそもケーキがおいしくなければね」ということを言われたそうです。ニッキー・ホプキンスのピアノの音はまさにキラキラと輝くアラザンみたいに感じますね!
印象に残ったのは「ジョン・レノンのような天才とのセッションではその才能に比例してどんどん化学反応が起きて素晴らしい演奏が生まれた」というようなお話です。その場に居合わせたらきっと次々に生まれてゆく音たちを聴いてドキドキしてしかたなかったでしょう。
一番モーガンさんが好きな彼の関わった曲はThe Rolling Stones「We love you」とのこと。

英語が堪能な方が多いのか、通訳する前に笑いが起きたりしてました…音楽&英語のレベルの高い会場に初心者が紛れ込んでしまった感をビシビシと感じました。

私がああでもないこうでもないとブログをこねくり回している間に、別の映画館で行われた朝日順子さんと汐月しゅうさんによるアフタートークがアップされましたので気になる方はぜひこちらをご覧になってから映画館へ!!観た後の情報補足にもぜひ。
映画フェスティバルは9月19日までですが、映画「セッション・マン」の公開は全国の映画館でまだまだ継続。これから上映する映画館もまだ増えそうですね!

「映画「セッション・マン」in Peter Barakan’s Music Film Festival 2024」に2件のコメントがあります
  1. […] 初夏にブログを書き始めてから、本当にたくさんのミュージシャンを知ることができて楽しい時間を過ごしています。あっという間に10月も終盤となりました。偶然にも好きになるミュージシャンがQUEENを筆頭にUKとその周辺出身が多かったためSNSのプロフィールなどでもUKロック好きを名乗ってましたが、映画「セッション・マン」「モンタレー・ポップ」、書籍「ルート66を聴く」の影響で気になったミュージシャン同士のつながりを辿ったりしていくうちに最近はUSロックにも手を出すようになりました(過去記事にリンクしています)。さらに「ルート66を聴く」著者の朝日順子さんがSNSで紹介してくださったことがきっかけで、ルート66についての紹介サイトがあることを知りました!2018年からオクラホマに在住されている日下部眞理子さんが運営するこちらのサイトは、実際に日下部さんが訪ねた場所やルート66にまつわるあらゆる情報を詳細に紹介していてとても興味深い記事がいっぱいです。実際に日々の生活を現地で送る方の発信する情報はリアルで、あらゆる角度から切り取られているので読み進めると疑似体験したような気分になれます! […]

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