前回に引き続き映画関連の投稿です。
先日、CSとBSで立て続けに気になる音楽関連の映画が放送されました。
「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア」&「ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間」。劇場で「スーパーソニック」「名もなき者」を観た余韻がまだ残っているくらいなんですが、たまにこうやって異様に短期間に気になる作品に出くわすことってあるんですよね~。2作とも音楽好きの方には相当メジャーな作品で必修科目くらいなんじゃないかと思いますが、私はどちらも未視聴でなんならトーキング・ヘッズはようやく昨年のレコードジャケット展(EDGE OF ROCKS)で名前を知ったほど馴染みがありませんでした。ウッドストックに関しては、中学の英語の教科書にトピックとして載っていたのが記憶にあるかも…。ドキュメンタリー番組などで取り上げられていたりもしますし、同じ時代の音楽フェス記録映画「モンタレー・ポップ」は昨年観たので予備知識はありました。

2024年「EDGE OF ROCKS」展にて撮影したトーキング・ヘッズのレコード。透明なそのビジュアルに驚いて会場のスタッフの女性に「これは何ですか??」と質問してしまったほど。同展覧会の監修をご担当された片寄明人さんの私物だそうです。
『スピーキング・イン・タングズ』[6](Speaking in Tongues)は、アメリカのロックバンド、トーキング・ヘッズの第5作スタジオ・アルバム。前作からおよそ2年振りの作品である。LP初回版のジャケットはロバート・ラウシェンバーグが手がけたもので、透明ジャケットに透明なアナログ盤が封入されていた。そのアナログ盤は、コラージュ写真をそれぞれ異なる色で印刷した3枚のプラスチック製の円盤で挟まれていた。ラウシェンバーグはこのジャケットデザインによりグラミー賞を受賞した。通常版およびCD版のジャケットはデヴィッド・バーンが制作したものである。
スピーキング・イン・タングズ – Wikipedia
どちらも音楽映画として記念碑的な作品だという認識があったので、自宅で一人ヘッドホンで爆音上映会を開催してしっかり鑑賞してみました。
ストップ・メイキング・センス 4Kレストア
監督:ジョナサン・デミ/レストア版修復:A24
この作品は1983年に行われたトーキング・ヘッズのライブの記録映像で、1984年に劇場公開された映像が2023年にレストアされたものだそうです。公開当時から長年にわたって愛されてきた作品らしく、リバイバル上映の情報や感想をネットで見かけては気になっていました。
トーキング・ヘッズのメンバーはこの映画に収録されているツアー時で総勢9人(サポートメンバー含め)。
80’sファッションやヘアメイクも見どころ
序盤でボーカルのデイヴィッド・バーンが独りでステージに上がり、曲が進むにつれて少しずつメンバーが増えてゆきパーカッションやダンサーで舞台がいっぱいになっていく演出があり一気に心を掴まれます。トリプルギター、アフリカンな雰囲気のリズム楽器、シンセサイザーなどたくさんの楽器が織りなす奥行きのある音、メンバーが担当楽器を変えながら演奏したりメインボーカルが交代したりする構成がとても面白いです。また、バンド内で結成された別ユニット、トム・トム・クラブの曲のターンがあったりするのも見どころかと思います。
さらに、背後のビジョンと照明の効果で曲ごとに一枚ずつ違う絵画を鑑賞しているかのような感覚があります。音楽とアーティスティックな映像が美しく融合した作品でとても見ごたえがありました!
この映像に収められたライブを含むツアーを最後に、トーキング・ヘッズはツアーを行わなくなりその後解散に至っています。ファンの方にとってはそういった点でも貴重で重要な作品になっているのでしょう。
ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間
製作会社:ワーナー・ブラザース/監督:マイケル・ウォドレー/編集:マーティン・スコセッシ
40万人以上の観客を動員したという音楽史上最も有名なロックフェス、ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)。1969年にニューヨーク州サリバン郡の農場を会場として3日間(4日とする説もあり)にわたり行われた大規模なイベントで、主催者は独自のレコードレーベル立ち上げを目指す音楽業界の若者たちだったそうです。その中のひとり、マイケル・ラングは劇中にも登場。2022年にお亡くなりになったそうですがその時のニュース記事でもウッドストックでの功績を称えられています。
この映画はライブの映像だけでなく、撮影された一般の観客やスタッフの様子を組み合わせドキュメンタリー作品としてオリジナル版が1970年に公開されました。今回は2009年発表のディレクターズカット版が放送され、オリジナル版より大幅にライブ映像部分が増えたものを観ることができました。225分の大作なので数回に分けて観ましたが劇場で観た方はちょっと大変だったのでは…。
以下、Wikipediaよりデータを引用します↓
出演者(収録順)Wikipediaより引用
登場順 | グループ / 歌手 | 演奏楽曲 |
1.* | クロスビー、スティルス &ナッシュ | “Long Time Gone “ |
2.* | キャンド・ヒート | “Going Up the Country “ |
3.* | クロスビー、スティルス &ナッシュ | “Wooden Ships “ |
4. | リッチー・ヘブンス | “Handsome Johnny “ |
5. | “Freedom “/ “Sometimes I Feel Like a Motherless Child “ | |
6. | キャンド・ヒート | “A Change Is Gonna Come “** |
7. | ジョーン・バエズ | “Joe Hill “ |
8. | “Swing Low Sweet Chariot “ | |
9. | ザ・フー | “We ‘re Not Gonna Take It “/ “See Me, Feel Me “ |
10. | “Summertime Blues “ | |
11. | シャ・ナ・ナ | “At the Hop “ |
12. | ジョー・コッカー・アンド・グリース・バンド | “With a Little Help from My Friends “ |
13. | 観客 | “Crowd Rain Chant “ |
14. | カントリー・ジョー・アンド・ザ・フィッシュ | “Rock and Soul Music “ |
15. | アーロ・ガスリー | “Coming Into Los Angeles “ |
16. | クロスビー、スティルス &ナッシュ | “Suite: Judy Blue Eyes “ |
17. | テン・イヤーズ・アフター | “I ‘m Going Home “ |
18. | ジェファーソン・エアプレイン | “Saturday Afternoon “/ “Won ‘t You Try “** |
19. | “Uncle Sam ‘s Blues “** | |
20. | ジョン・セバスチャン | “Younger Generation “ |
21. | カントリー・ジョー・マクドナルド | “FISH Cheer / Feel-Like-I ‘m-Fixing-to-Die-Rag “ |
22. | サンタナ | “Soul Sacrifice “ |
23. | スライ &ザ・ファミリー・ストーン | “Dance to the Music “/ “I Want to Take You Higher “ |
24. | ジャニス・ジョプリン | “Work Me, Lord “** |
25. | ジミ・ヘンドリックス | “Voodoo Child (Slight Return)”(映画では「Voodoo Chile」と称している) ** |
26. | “The Star-Spangled Banner “ | |
27. | “Purple Haze “ | |
28. | “Woodstock Improvisation “** | |
29. | “Villanova Junction “ | |
30. | クロスビー、スティルス、ナッシュ &ヤング | “Woodstock “* / “Find the Cost of Freedom “** |
* アーティストによるアルバムからのスタジオ録音
** ディレクターズ・カット版のみの収録で、オリジナルの劇場版には含まれていない
↑詳細はクリックで展開します。
さまざまな都合で全出演者のうち一部はこの作品への収録を未だに許可していないというのも面白いですし、出演者だけでなく出演を断ったミュージシャンの一覧もWikipediaで確認することができてなかなか興味深いリストになっています。
内容の感想ですが、出演したどのミュージシャンもすごい熱演で見ごたえがあります!画面を分割して、2~3か所から撮影した映像が同時に観られるのも臨場感があります。
THE WHO、ジェファーソン・エアプレイン(ニッキー・ホプキンスがちょっとだけ映ります!うれしい)、ジャニス・ジョプリンは堂々としたステージでその人気ぶりがうかがえます。そして先日観た映画「名もなき者」でも取り上げたジョーン・バエズは妊娠中(夫はなんと服役中)の出演、さらにウディ・ガスリーの息子であるアーロ・ガスリーまで登場し、65年のフォークフェスからの時代の流れを感じさせます(ちなみに、理由は諸説あるようですがボブ・ディランはこのフェスの出演を断りワイト島フェスには出演しています)。知らなかったミュージシャンの中では、テン・イヤーズ・アフターの激しめギターとメロディアスなベースが印象に残りました!遅延のため演奏が始まる前に帰ってしまった観客も多くいたというジミ・ヘンドリックスのライブも、後々まで語り草になったのが分かるなあと初心者ながらに圧倒されました。
観客や会場内の雰囲気を撮影した部分では、会場の柵を壊してチケットを持たないのに入場したり、ドラッグとアルコールと土砂降りと泥にまみれ、公衆の面前で裸になって歩き川や池で男女入り乱れて遊ぶ若者たちが画面いっぱいに映し出されます。不健全さと危ういピュアさが入り混じったような雰囲気はかなり異様に感じましたが、生々しい当時の空気がそのままパックされているようで、若者たちが何を求めてここにやってきたのかをリアルに感じ取ることができます。この辺りは「モンタレー・ポップ」にも通じますが、「ウッドストック~」にはムーブメント終焉前夜の最後の打ち上げ花火的な雰囲気がより色濃く感じられるように思います(この後の歴史を知ってしまっているから余分にフィルターがかかってしまっていますが)。
意外だったのは、程度の違いはあるにせよ周囲の大人たち(観客の若者世代の親にあたる年代)が全面的に肯定するわけではないにせよ食料や医療、会場の清掃など多方面からフェスティバルを支援していたことです。大きなトラブルが起こるのを避けるために必要だからという理由はもちろんあるのですが、自分の娘や息子と同じような若者たちが熱中していることだから…という気持ちを持って見守る方も大勢いて、あのフェスティバルが若者の勢いだけで成り立っていたものではないことを改めて知りました。
かなりのボリュームで時間も気力も使いましたが観てみてよかった作品でした。
↑「ストップ・メイキング・センス」の配給・レストア版制作を行ったA24というエンタメ企業。
ロゴが目立っていたので「名もなき者」鑑賞時に流れていた予告編で見たな~となんとなく記憶していたのですが、今後公開予定の映画も気になるものが多いのでこのロゴマークには要注目ですね。