「ヒゲとボイン」UNICORN(1991)
1991年9月30日にソニー・ミュージックレコーズからリリースされた。前作『ハヴァナイスデー』(1990年)よりおよそ9か月ぶりにリリースされた作品であり、作詞・作曲はメンバー全員が行っている。プロデュースはバンド自身が担当している。レコーディングは日本国内で行われ、一部の曲は野外でレコーディングされ焚火の音や雨の音が収録されている。また堀内一史は同時進行でソロ・アルバムを制作していたため本作にはあまり参加していない。アルバムタイトルは小島功の漫画『ヒゲとボイン』(1974年 – 2011年)から拝借され、ブラス・ロックやエスニック・ミュージック、ハードロックやフュージョンなど様々なジャンルの楽曲が収録されている。
ヒゲとボイン (アルバム) – Wikipedia
ガソリンの匂い、湿った雰囲気のアパートやモーテル、汗臭いトレーニング室、港町の潮風。などなど、梅雨から夏にかけての自分や誰かの記憶とリンクするようなアルバム。
以下、各曲の超個人的な感想とクレジット紹介です。
- ターボ意味無し
粘度のあるギターリフ、というか全楽器と民生の声が絡みつくような音を出している。梅雨時の朝、さらに湿度が上がるような音から始まるのもなかなか悪くないんじゃないか。 - 黒い炎
トランペットが鳴り響くダンサブルなサウンドで湿度を振り払うかと思いきやさらに汗臭さを加えちゃう。いまだに爽やかハンサムガイなEBI、シャウトがキレてる! - ニッポンへ行くの巻
これも30年くらい知らずに聴いてたけどアーメンブレイク?シニカルな歌詞だけどしつこくなく都会的サウンドの中にあっさりと流れてゆくので心地よい。が、唐突に挿入される妙なコーラスやバリ島のようなシャカシャカ音!一筋縄ではいかない曲。 - 開店休業
伸ばしがちなキーボードの音と繰り返すギターのフレーズが「泣きじゃくる君」をの思いをなあなあに諭してしまう男のやり口って感じ!ほんとに熱海に連れていくのか口だけなのか。悔しいけど(?)カッコいい。雨が降ったり晴れたりするのを狭い部屋の窓から見ているよう。 - 幸福
背後で響く打楽器とテッシーの独特な歌声が、同じ空間にいるのに交わらない人間同士のよう。このままじゃいけないようなこのままでいたいような曖昧な気持ちにさせる曲。楽器の音が雨の音やセミの声、雑踏のざわめきにも聞こえる。 - 看護婦ロック
監獄ロックのパロディタイトルだけど内容はお色気ソング。エルヴィス・プレスリー好きの阿部B全開。ブルースハープも鳴り響く。全編粘っこいなあ~ - 立秋
ベースラインとスネアドラムが全編をリードし、リズムギターとピアノが美しく絡んでる。季節が変わっていく時期の切なさのような感じ。 - ザ・マン・アイ・ラヴ
アルバム中一番、ロックンロール色の強い曲。川西さん曲・民生歌唱。エフェクトがかかったこもったような声が密な空間のやりとりをこっそり聴いているよう。ラストの畳みかけるようなドラムが最高。 - フリージャズ
一見あっさりとしたお別れの歌だけど、残していく恋人への思いをしつこくまだ部屋に充満させているような歌詞ともわもわホワホワした演奏、阿部Bの歌声。 - 風
ハーモニーと即興感が気持ちいい、と思ってるとあっという間に終わってしまう。自然の音が入ってるのに最近気づいた。 - 家
思い出を反芻するようなフレーズの繰り返し。あきらめを含んだような民生の声が徐々に強くなっていき、また静まり返るラストがじんわり記憶に残る。 - Oh, What a beautiful morning
フォークだったり演歌調だったりくるくる変わる雰囲気が、一人の人間の持ってる多面性が垣間見える瞬間みたい。真面目一徹に見えてこっそり誰か二人目を愛してたこの老人のように。 - 風Ⅱ
ストーリーのあっけない結末。 - 車も電話もないけれど
ポジティブもネガティブも含んだ新しい空気で自分がぱんぱんに満たされるような気分になれる。
サビに向けての盛り上がりが、20年以上聴いてても毎回わくわくする曲。 - ヒゲとボイン
ブンブン低音ベースが響く中にちりばめられたキラキラのシンセがジャケットの星空みたい。全編力強いドラム・ボーカルは若さ・力強さ・無鉄砲さのかたまりのよう。
「車も電話も~」みたいな幕末コスプレ、欧米人の美女で「五人の侍」ですか。阿部さんのなで肩よ…