「The Who At Kilburn 1977(邦題:ザ・フー ライヴ・アット・キルバーン)」、「The Kids Are Alright(邦題:キッズ・アー・オールライト)」を観てきました!両作品とも過去に映像はリリースされてはいましたが、映像・音声をレストアされて日本の劇場では初公開となったそうです。「The Kids~」は公開初日トークショー付き上映の回をゲット!アメリカ大陸フェアウェルツアーも終盤、1971年のライブ盤もリリースされるし、2025年8~9月はまさにThe Who強化月間!という感じでした。

今回の投稿はそれぞれの作品を劇場で観た感想とトークショーの内容で印象に残ったところを記録しておきます。映画の詳細は↑のリンクをご参照ください!


The Who At Kilburn 1977

「The Kids~」のために撮影されたもののベストな演奏ではないと判断されたのか使用されず、映像作品として2008年にリリースされた後廃盤になっていた作品。今回私はアップリンク吉祥寺にて最終日に鑑賞してきました。想像よりも音が穏やかでもっと轟音でもいいなあと思いましたが、鮮明な映像は臨場感たっぷりでした。四人とも表情が良く捉えられていて(とくに「My Wife」!他のライブではジョン・エントウィッスルにあまりスポットが当たらないことも多いので嬉しい)、ジョン以外の三人はアクションも終始派手なので狭いステージがさらに狭く見えるようでした。アイコンタクトでコミュニケーションをとる様子もよく分かります。キースが「『Summertime Blues』なんてやめて『Fiddle About』をやろう」とふざけた後の「Tommy’s Holiday Camp」、リリース前の「Who are you」を披露したり、印象に残る見どころがいくつも。大好きな「Dreaming From The Waist」が聴けたのも良かったですし、もちろんラストの「Won’t Get Fooled Again」は圧巻です。
演奏以外では終始苛立った様子のピート・タウンゼントが観客に「口だけのクソガキ、俺のギターを奪ってみろ」などと煽ったり、音量調整を巡ってPAさん(?)と揉めたり、「最悪の出来だ、撮影してる意味がない」なんて発言する場面も。彼が完璧主義なだけに、このライブをしばらく公開しなかったんだろうなということが伺えます。ファンの熱狂と裏腹に、バンドの方向性への迷いなどもあったのか…などと想像しますが、私の実感としては全員の表現者/エンターテイナーとしての力を存分に感じられる作品でした。


The Kids Are Alright

こちらはキルバーンでのライブが収録されるはずだったドキュメンタリー映画です。1960年代のデビュー間もない頃のTV出演映像からメンバー個人のインタビュー、ウッドストックフェスティバルの出演部分、キルバーンでのライブに代わる映像として翌年撮影し直されたシェパートン・フィルム・スタジオでの映像まで10数年分が散りばめられています。
2005年リリースのDVDを持っているので行くか迷っていましたが、角川シネマ有楽町にて上映後のトークショーが開催されるという情報を得てチケットを買うことを決意。結果、大正解でした。特にライブ部分をこのスクリーンで体験するのは本当に最高で、鮮明な映像と轟音に完全にやられました。シェパートンの映像はYouTubeでもThe Whoの公式チャンネルで観ることができますが、映画館でこのパッケージで観るからこその感動が味わえます。若さの衝動とエネルギーでとにかく前へ進んできたバンドが、創造の喜びと辛さや世間が求める自分たちと本来の姿のギャップにぶち当たる姿。あらゆるしがらみがあってもなおステージで放たれるパワフルな演奏。スケールは違っても、人ひとりの人生にどこか重なる喜怒哀楽がこもっているんじゃないかなと感じます。
もちろん、「爆破&破壊シーン」、女王様にムチ打たれるキース・ムーン、リンゴ・スターと上機嫌のキース2ショット、などあの時代このバンドならではのクレイジーな映像が差しはさまれるのもたまりません。
劇場には20代前半くらいの若い方もちらほらいらして、やっぱりThe Whoの魅力は時代を超えるなあと実感しました。


上映後トークショー

この初回上映はサエキけんぞうさん、保科好宏さんによるトークショー付きでした!とにかくTHE WHO愛に溢れる空間に長く居たくて、この回を予約したと言っても良いくらいでしたが期待以上に楽しかったです。(お二人ともおそらく試写でご鑑賞済みだろうに、トークショーの前に観客と同じスクリーンでもう一度じっくり観ていたそうです(笑)。)
この映画が作られた経緯(ジェフ・スタイン監督が元ファンから映画を作るようになるまで)の解説はもちろん、破壊王キースの奇行列伝まとめ、他ミュージシャン絡みのトリビア(ジミー・ペイジがキースとジョンを引き抜きたかった等)も聞けてあっという間の一時間でした。
保科さんは初代ファンクラブ会長として、バンドの変遷をリアルタイムで追いかけてきた感想を愛情たっぷりに。お知り合いの方がキース宅に訪問したら水のないプールで食事していたという凄いお話もされていました。「走る」のがロックのエモーションであり、The Whoはそれが個性になっている稀有なバンドであるという発言が印象的でした。
サエキさんはミュージシャンとして楽器の使い方で特にThe Whoの特徴とはこれだ!という点(キースのドラムは曲を乗っ取るかのよう、ドラムが家でそこにベースとギターが寄り添う感じが唯一無二。シンセ・シークエンサーの抑揚に合わせてリズムを炸裂させるのは音楽史上の快挙!など)をお話されていました。
特に気になったトピックとして↓
・キースはジョン・レノンの「失われた週末」にも参加していたり、今作でもリンゴ・スターがゲスト出演したり当時のミュージシャンの交友関係が面白い(個人的感想)
・ロックンロール・サーカスの映像お蔵入りに関して、お二人はThe Rolling StonesがThe Whoの演奏に慄いたエピソードを有力視している
・ザック・スターキーを擁した初来日~最新ライブ映像を観てお二人は「ピートは永遠に不良のロジャー親分の子分であり、oasisはThe Whoの子分」と感想を抱いた

上映後はパンフレットを購入しお二人にサイン&握手、写真も一緒に撮影してもらいました。私が歴の浅いファンで、今映像作品などの資料を後追いで体験していることを伝えるとサエキさんに「年数じゃないんだよ!」保科さんに「他にこんなバンドいないもんねぇ」とお声がけいただき感激。こういう方のおかげで、私のような後追いファンが燃えられるというものです。モッズを意識してポロシャツ着用(欲しいけどまだTシャツが買えていないのもあり(笑))したことを伝えると「モッズはポロシャツ好きだからね」と保科さん。嬉しかったです。


進行中のアメリカツアーの映像を観て

海外のミュージシャンはだいたい今YouTubeで10数時間もすればライブ映像がアップされるパターンが多いので、私も観ていましたがとにかくロジャーのパワフルさには圧倒されます。ほとんどの曲でキーも当時そのままに絶唱する姿、鍛えた身体あってのものでしょうか。ピートも風車奏法を披露し、おそらくたくさんジョークを言っているのだと思うのですが英語力がなくて聞き取れないのが悲しいところです。
最近このライブアルバムもリリースされいよいよ「まとめ」に入っている感がありますが、ライブ自体はUK~欧州ではまだ続ける意向があるそうなので私も観られる機会を諦めずにいようと思います!

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