今年に続いて来年も映画館通い詰めか?!と音楽好きの嬉しい悲鳴が聞こえそうな2025年晩秋。SNSやニュースサイトで次々にアップされる新作映画情報の中でも、特に世間で注目を集めているのはThe Beatles関連映画でしょう!メンバーそれぞれの視点に立って制作されるという四部作の伝記映画は2028年公開だそう。俳優陣の写真、パッと見誰が誰を演じるかわかりますか?

Vogueの記事より

The Beatles関連映画は、古くは「Hard Days Night」から「Get Back」などの本人出演もの、「失われた週末」、「インドとビートルズ」など関係者が語るルポルタージュ的作品やジョンとヨーコの曲にインスパイアされたというCGアニメ作品「War Is Over」(YouTubeで12/2から配信だそうです!)も含めると結構な数になりますね。さらに、12/5には、ジョンが亡くなるまでの最後の10年にスポットを当てたドキュメンタリー「夢と創造の果てに ジョン・レノン最後の詩」の公開も控えています。映画関係だけでも本当に話題が尽きないですね。

そしてついつい、観に行った直後にドタバタ慌ただしいことが続いてブログに感想を載せていなかったのですが「Midas Man(邦題:ブライアン・エプスタイン 世界最高のバンドを育てた男)」。これは今年観た中でも特に印象的な映画でした。以前観た「NOハンブルク NOビートルズ」や「ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー」に出てきたエピソード(バンドが観客をおちょくるような振る舞いをして登場するシーンや他のバンドが「Rock Island Line」を歌っている等)がストーリーに組み込まれていて、自分の頭の中で一段階解像度が上がりました。キャバーンクラブ周辺の汚れた街並みやアビイロードスタジオの床が映されるシーンでは、実物を見せてもらっているくらい興奮!
この映画はThe Beatles関連映画でありながらマネージャーであるエプスタインが主役。彼が欲した愛情や承認が実の家族や恋人では埋まらなかった悲しみ、その反面人生を賭けて情熱を注いだバンドとの強い絆が描かれます。一方でエプスタイン以外の登場人物たち(バンドメンバーはもちろん両親、黒人の執事、女性歌手、恋人)がそれぞれあの時代にどのような希望/絶望を抱え生きていたのかを想像させるような作りになっていて、観た方はきっと当時の社会についてもっと調べてみようと思うはず。
個人的に印象に残ったのは、契約書類を提示されたシーンで眼鏡をかけ誰よりも先に目を通すジョンが意外だったこと、The Whoとテレンス・スタンプの名前が劇中で出てきて少しテンションが上がったこと(The Whoはバンド専用のスタジオ購入エピソードで名前のみ登場。テレンス・スタンプはエプスタインの母が「The Beatlesもテレンス・スタンプも労働者階級出身よ」と発言するシーンあり)

先週11/15放送だったNHKーFM「ディスカバー・リユニオン」では和田唱さんがこの映画でメンバーの身長の相関関係とジョンを演じた俳優さんの幼さでジョンのバンドにおけるリーダーらしさが失われたようで気になってしょうがなかった(雑な要約ですみません)とお話されていて、私にとってはメンバーがあんなにまだ幼い少年みたいだったのに世界に向けた「商品」として異様な人気があったことがある意味よく感じられるから良いのかなと思っていたので本当に感想は人それぞれ、新参ファンと長年のファンの違いもあるのかななんて思っていました。
それから、ハンブルク巡業時代を詳しく描いた書籍「ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街(著:イアン・イングリス)※」の中で、エプスタインによる服装や態度のプロデュースによってメジャーになれたものの、「ステージがつまらなくなった」「尖った部分を切り落とされた」「クラブ時代の演奏こそ本物だった」…と回想するジョンの発言を思い出すと、兄と弟たちのようであった関係も必ずしも100%円満でハッピーではなかったのかもしれないと切なくなりました。まあそのうまくいかない感じも含めて、本当の家族のようであったといえばそうかもしれませんね。
※この本は朝日順子さんの訳がわかりやすくて、藤本国彦さんの解説も読みごたえがあって最高です

ロック×映画といえばoasisも再結成ツアーのドキュメンタリー映画化に向けて超スピードで制作が行われているそう。リマスターやリバイバル上映も含め、来年以降も映画界はまだまだロックファンをワクワクさせてくれそうですね!

https://oasis-film.com/ja-JP/index

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